心の絵

先日、東京は赤羽にあるぎゃらりー遊 
ぎゃらりー遊 + Gallery You +
へ行ってきました。
このギャラリーではともよさんの個展をしています。(2018年4月6日まで)
まんが「水色ともちゃん」の作者のファインアートの個展です。
「水色ともちゃん」を教えてくれたのは友人でした。「絵が可愛いし、統合失調症という病気について理解が深まるよ。」と言ってまんがのリンク先を教えてくれました。
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私も精神科に行っていますが、統合失調症とはどんな病気かはっきり知らなかったです。興味深く読みました。それから闘病記(こちらも水色ともちゃんのまんが)をランダムで見ていくうちにツイッターのアカウントを見つけてフォローしました。たまたまかもしれませんが、ツイッターで個展をされるということが分かり、興味が湧いたのです。
私はギャラリーでボランティアをしていました。なので作家さんが一生懸命に作品を展示するのを知っています。銀座のギャラリーにどっぷり浸かって今回はこんな感じでー、みたいな人もいれば、ひとつひとつ差箱や鬱金布を作り大事に大事に展示をしている方もいました。
また、統合失調症の人の絵の特徴を私は知っていました。ドイツの女性作家アンティエ・グメルスさんとか(衝撃的な絵なので検索要注意)多くは言えないんですけど、教育学部で少し研究したので。あ、草間彌生さんも統合失調症ですね。あんな感じ。
なので結構色眼鏡で見ることに慣れてしまってて、なんとなく美術マニアとしては怖いもの見たさで出かけました。ここ本音です。ごめんなさい。
でも、ともよさんの絵を見て、私はハッとしました。ここには心しかない、と感じました。
病気の絵ではなく、心の絵。
私は持病のせいで、絵が描けない時期があり、その辛さを受け入れるまでにすごい時間かかりました。私は絵で大成するんだ、って中学校の頃から画家に憧れていましたから。
リハビリで絵を描き始めたのですが、どうも中心がうまくいかない。
中央に何もない。私は心を病んで、絵の心まで消えてしまったのか。と、これまた苦しみました。
長くなりましたが、絵には見るものが必要です。主役がいないと成り立ちません。
でも私は主役が描けなかった。そして、ともよさんも描いていません。いや、描いているのかもしれませんが、きっと普通のひとは見つけることができません。
その代わりに、ささやくような色合いの筆の跡や、清潔な絵の具の跡が響いていました。
だから、絵を描かない普通の人は、「癒されるなあ」「いつまでも見ていられる絵だ」と思うかもしれません。「水色ともちゃん」を応援している方は、優しくて透明感のある絵にきっとホッとすると思います。
でも、見えない絵、なんです。
まあ、この辺でごたくは止めます。実際見に行かれるとよいと思います。自分の感性がどうであるか、確認できると思います。(まるで裸の王様みたい)
ぱんぱかぱーん!みたいな出来事もありましたが、それはまた今度。

軽蔑

今日は銀座のギャラリーに作品を出品しているので、それを見にいってきました。画廊は人がいなくて静か…なので、オーナーのOさんと内職(カード折り)しながら雑談しました。
Oさんは「顧客のことを考えない作家は良くないと思います」と言っていて、ああ、私も雑だわ…と思いました。「側面の処理をしないとか」
今回参加したグループ展は1万円で出品できました。銀座で1万で展示できるなんて凄いことなんですよ!なので私はこのオーナーは作家目線で企画展示をしているのだなあと思ったんですが…(作家の味方みたいな方)企画展について聞くと「うちは30%しか作家からもらいません」「今の作家は絵の具代やらで大変な思いをしながら描いていて、でも売れなくて。未来ないですよね…」「作家は購入される方のことも考えないと。ゆるすらさんはどう?どうなりたい?」
また、どんな絵を描きたいのか、どうやって展示していきたいのか、質問されました。
たぶん私はこのOさんとは話が噛み合わないなと思いながら、
私「どんな絵を描きたいとか、決まってないんです。ただ心が楽になるように絵を描きたいです」
「じゃあ、どの画廊でもいいから自分の世界を見て!って感じ?」
私「そういうのでもないです。自分の描きたい絵が決まってないんです」
そこまで話したところで手作業が終わったので、コーヒーのお礼を言おうと思ったらぷいと向こうを向いて制作の続きをし始めました。えええ…シカト?もうだめだという気持ちの表れ?
そこでそそくさとギャラリーをあとにしたのですが、なんだか軽蔑されたのかなと思ってしまいました。

私はこの夏になるまで絵が描きたいけど描こうという気持ちにならなかったのに、急に描きたくなりました。描くのが嬉しい。でもまだ買ってもらうのは申し訳ない。額や木箱を要するような絵じゃないかなと思っていました。今回の展示でお客と対峙して(したところを見てないですが)はじめてマーケットを体感しました。
今現在は、少し改善されましたが、絵と買い手の需要と供給がものすごくアンバランスで、描いても売れません。私は子供たちや、大人の方も美術を楽しんでもらって、作品を大事にして、愛したり掛け換えてくれるのがいいなと思っています。感性を高めて、美しさに酔いしれる。美しいものに包まれたいですよね。
で、私のやりたいことは子供の感性を高めること。固定観念を柔らかくすること(自分もですが)。美しさに憧れること。
なので、画廊の人には軽蔑されちゃったようですが、使命感を持って仕事しまーす。
銀座の広くて大きい貸し画廊でドドーンと個展をやりたいです。

Appleファンですが何か

あまりWindows機には興味がなく、Appleファンだった私。MacBookは7年ものだけど、素早い起動だし、余計なものがなくて楽。今となっては重量はあるけれど別に持ち歩かないし問題ない。
ところが学校現場でそのMacBookがもっといいパフォーマンスを見せることが分かった。きっかけはHDMIケーブルと大画面のテレビ。MacBookにベルキンのケーブルを差し込んでHDMIケーブルと連結し、大画面のテレビにパソコン画面を大写しすることができた。なにがいいって、「作品をインカメラを通してみんなに見せる」という点!いわゆる作品をひらひら持ってちゅうもーくとか言わなくていいのだ。

前置きが長くなったけれど、そういうわけで、パソコンが手元にない。いや学校から引き上げてくればいいんだけど。パソコンが手元に無いってなんか不安じゃないですか?急に書類作ったりする時に無いって。

そういうわけでノーパソを探しています。贔屓のAppleのパソコンは薄く軽く…それはいいんだけど様々なジャックがほぼ無くなった。パソコンなんだけど、じっくり作業するという感じではなくなった。もはやタブレットじゃね?

しかしWindows機は無駄な機能が多すぎる。
がっ

なんだこれは!マイクロソフトsurface book
タブレットのふりしたパソコンではないか!CPUはi7というものが入っている。容量はMaxで1TB。テラってあんた…ジャックも流石Windowsさまざまある。CDスロットルがないけど外付けでカバー。スタイラスペンが優れてる。他のノーパソを軽く凌駕する。タブレットモードにしたら結構重量あるけど、タブレットはもうiPad持ってるから要らないんだよね。

35万円するのがなあ…買えなくもないけど、ちょっと高いよね…

私的2015展覧会まとめと上位を決めました

年末ですね。唐突ですが今年私が行った美術展を列挙します。

インターコミュニケーションセンター”高橋コレクション ミラー・ニューロン
森美術館五百羅漢図”
東京国立博物館”インドの仏”
東京国立博物館”トーハクでアジアの旅”
東京国立近代美術館”誰がためにたたかう?” ”これからの美術館事典”
東京国立近代美術館 工芸館”近代工芸と茶の湯
渋谷パルコ パルコミュージアム”アーブル美術館”
国立西洋美術館”グエルチーノ展”
埼玉県立近代美術館”キネティックアート” ”旅と芸術” ”すごいぞこれは”
越後妻有トリエンナーレ大地の芸術祭の里”
東京都美術館”東北画は可能か?”
ギャラリー来舎”kNOB展”
原美術館サイ・トゥオンブリー
三菱一号館美術館”プラド美術館
東京都現代美術館”ここはだれの場所?” ”戦後美術クローズアップ” ”オスカー・ニーマイヤー展”
弥生美術館”橘小夢展”
伊勢丹アートエキシビション”とんがりのススメ”

たった8ヶ月で22展を見た。行った自分もすごいというか、22も(実際は5倍くらいあるだろう)展示があるということがすごい。東京ビエンナーレとか言われているけど、十分すぎるくらい展覧会はあるんではないかな。

さて、行った美術展はみんな良かった。ツイッターの情報をきっかけに行った展覧会が多い。みなさんに感謝である。
難しかったが、今年の美術展の上位3位と、その理由を書いてみる。展示についてなので、作品についての感想はまた別途で。

3位 サイ・トゥオンブリー
とてもおしゃれというか、センスの光る展示だった。トゥオンブリーの作品の、ぎりぎりの感覚。作品のパワーに徐々に魅了させられた。

2位 ここはだれの場所?
メランコリックな美しさから始まり、途方もない賭けのような表現(会田誠さん家族の展示)に心を揺さぶられた。作るということはなんなのか、改めて問い直された気がした。2度見に行った。

1位 グエルチーノ展
私は西洋美術館にはあまり行かないのだけど...この展示は本当によかった。豊かな画面を展示室いっぱいに展示してあり、なすすべもなく絵画に引き込まれていった。ああ、油絵のこういう魅力にひかれたんだよなあと、内面から感動した。本当にこの展覧会は見て良かったと思う。

行きたくても行けなかった展示もある。ブリヂストン美術館の”ベスト・ザ・ベスト”...これは人が多すぎて、空いている日を狙っているうちに終わってしまった。あと天祭一○八...これは情報がなくて行きそびれた。
見直すと、ギャラリーにはほとんど行っていないことが分かった。来年はギャラリーも行ってみたい。

一千万、十割引きでよくってよ、展へ

高円寺のギャラリー来舎(きや)へkNOB(のぶ)さんの個展に行ってきました。ツイッターで偶然知った作家です。ホームページを見てビビッと来たので急遽訪問。
ギャラリーは小さいながら綺麗な白い空間でした。水彩が映えました。ツイッターやホームページで作品は何点か見ていて、ちょっと怖い感じのする絵が印象に残るなと思っていました。
さて、ギャラリーへ入ると、絵は思ったよりずっとやさしい雰囲気。というか、とてもやさしい!人柄が伝わってきそうです。儚(はかな)く繊細で、うるんだ眼差しにひきこまれました。水彩なのですが淡いだけじゃなくて深みもある。水を十分に含んだ画面であろうということが分かります。水かなり使ったんだろうなあ。この絵は気に入った作品。メランコリックでゆらゆらしていてマリー・ローランサンのような雰囲気で思えばそれに惹かれたのでした。
水彩といえば、どこかの風景とか、かっちり描こうという意識がでてくるものです。絵を習っている人ほど特に。でもkNOBさんの水彩画はうまく描こうとしてない(うまいのに)。あえて定石からはずれてやろうという強い意志を感じます。
そして、淡く透明な絵の中にきりりと印象的な目。それが全体を引き締めていて、何か可能性のようなものを感じました。ぎりぎりの緊迫感もあり、はっとします。どことなく、ホルストヤンセンのような(過激ではないですが)人間よりも人間らしい「感覚」を共有することができます。特筆したいのは色!これは間近で見るしかないです。透き通っていて、きらきらと輝いて見えます。用紙や絵具の感じ?というより色合わせがうまいんだろうな、と。
kNOBさんは無欲な方のようですが、もっと見られてしかるべき絵だと思います。早いうちにもっと目につく場所(公共施設でもいいと思います)に、多くの人に見てもらいたいと思いました。絶対に写真やカメラには収めることができない色づかいと、仄かな色気のある作品です。

「旅と芸術展」

11月14日、埼玉県民の日に訪問。雨の降る中、薄闇に美術館の光があたたかい。閉館まで1時間だったのでさっそく企画展2階へ。薄柿色の看板がお出迎え。銅板の作品が続く。エングレーヴィング(銅板をビュランというニードルのようなもので彫って印刷する)。写本がぶ厚くて、結構迫力があった。ウィリアム・ジェイムズ(19世紀の偉大な哲学者。初期は画家を志していたが挫折して哲学者になったという)の「ヴェネツィア・スキアヴォーニ埠頭」という油彩があり、同行者は「すごい!上手い。挫折する必要なかったのに」と言って賞賛していたのだけれど、よく調べたら別人の模様。その他にもヴィクトル・ユゴーシャルル・ボードレールにまつわる作品があったので、面白く思う。詩人S.T.コールリッジの「老水夫の歌」にギュスターヴ・ドレが挿画した本に圧倒。最近幻想美術が面白いと思っていただけに興味がわいた。
次の部屋は写真と銅板の作品が沢山あった。アルビュメン・プリントという1850年から1880年に盛んに作られた鶏卵紙プリント技術を堪能できる。セピア色の部屋に、ときどき油彩があり、アクセントになっていた。コローの暗い灰色の森がきれい。アルコーヴには仏像の木彫りがあってなごむ。(インドのものだけど、個人的に文化が混淆した作品のように思えた(中国風だった)。旅の記憶、いろんな地域でまとめられていてわかりやすい。カッサンドルの印象的なポスターやカラフルな絵はがきがセピア色の世界に色を添える。この辺で閉館間際の音楽が...急いで見ていく。最後は空想の世界にトリップ。面白かったけれど時間が...あとは埼玉近代美術館のおなじみの作品が並ぶ。(全体的に日本の美術館から作品を借り受けているもよう)ラストを飾るのは日本の旅。地震津波の模様が写真でならんでいたのは面白かった。そして閉館時間。
もっと時間があるときに来ればよかった...全体的にセピア色でまとめてあり、貴重な文物もあり、新たな発見もあった。けれどかなり教養のある人じゃないと楽しめないのでは(私は教養ないけれど、同行者のお陰で興味深く見た)。
埼玉県に新しい観光をもとめて来ていただきたい、と埼玉県民の私は思っている。

デザインフェスタギャラリー、その手があった!

ツイッターでこまごま駄作を披露してきた訳なんだけれど、なんか消化不良でもやもやする。アンド教員採用試験には自作の絵が必要ということで頑張ってそれなりのものを作らなくてはならない...んだけど良作が作れる自信がない。
でも見てほしい!感想聞きたい!ネットで写真だけではなく、現物を見てほしい。
でもそういう欲にかなう場所の見当がつかず。コミケじゃ「分類わかんね」「漫画ちゃうやん!」だし、ギャラリーはめっちゃお金取るしその割に見てもらえる気がしない。ギャラリー、入りづらいですよね。
本気?嘘ん気?で描いた絵を見てもらえる所はないもんか...できればアートに興味のありそうな人に。雑踏でもいいけど路上で絵描きはヤーさんに因縁つけられそうで怖い。
で、前置きが長くなりましたが、検索してたところ、とてもおあつらえ向きのところがありました。原宿にあるデザインフェスタギャラリー!!!ここのアートピースという障子半分くらいのところで一日ほぼワンコインで展示させて貰えるところがあるのです。完全に盲点でした。とても昔、デザインフェスタギャラリーの狭い一空間で個展をしたことがあるので勝手や雰囲気は分かる。
教職の勉強と制作の両立できるの?とか難しいこと考えなくてもいける!作品たまったらデザインフェスタギャラリーの一区間を借りてもいいし。
俄然やる気になり、単調な日にいい刺激にもなりそうで、嬉しいです。