一千万、十割引きでよくってよ、展へ

高円寺のギャラリー来舎(きや)へkNOB(のぶ)さんの個展に行ってきました。ツイッターで偶然知った作家です。ホームページを見てビビッと来たので急遽訪問。
ギャラリーは小さいながら綺麗な白い空間でした。水彩が映えました。ツイッターやホームページで作品は何点か見ていて、ちょっと怖い感じのする絵が印象に残るなと思っていました。
さて、ギャラリーへ入ると、絵は思ったよりずっとやさしい雰囲気。というか、とてもやさしい!人柄が伝わってきそうです。儚(はかな)く繊細で、うるんだ眼差しにひきこまれました。水彩なのですが淡いだけじゃなくて深みもある。水を十分に含んだ画面であろうということが分かります。水かなり使ったんだろうなあ。この絵は気に入った作品。メランコリックでゆらゆらしていてマリー・ローランサンのような雰囲気で思えばそれに惹かれたのでした。
水彩といえば、どこかの風景とか、かっちり描こうという意識がでてくるものです。絵を習っている人ほど特に。でもkNOBさんの水彩画はうまく描こうとしてない(うまいのに)。あえて定石からはずれてやろうという強い意志を感じます。
そして、淡く透明な絵の中にきりりと印象的な目。それが全体を引き締めていて、何か可能性のようなものを感じました。ぎりぎりの緊迫感もあり、はっとします。どことなく、ホルストヤンセンのような(過激ではないですが)人間よりも人間らしい「感覚」を共有することができます。特筆したいのは色!これは間近で見るしかないです。透き通っていて、きらきらと輝いて見えます。用紙や絵具の感じ?というより色合わせがうまいんだろうな、と。
kNOBさんは無欲な方のようですが、もっと見られてしかるべき絵だと思います。早いうちにもっと目につく場所(公共施設でもいいと思います)に、多くの人に見てもらいたいと思いました。絶対に写真やカメラには収めることができない色づかいと、仄かな色気のある作品です。