「旅と芸術展」

11月14日、埼玉県民の日に訪問。雨の降る中、薄闇に美術館の光があたたかい。閉館まで1時間だったのでさっそく企画展2階へ。薄柿色の看板がお出迎え。銅板の作品が続く。エングレーヴィング(銅板をビュランというニードルのようなもので彫って印刷する)。写本がぶ厚くて、結構迫力があった。ウィリアム・ジェイムズ(19世紀の偉大な哲学者。初期は画家を志していたが挫折して哲学者になったという)の「ヴェネツィア・スキアヴォーニ埠頭」という油彩があり、同行者は「すごい!上手い。挫折する必要なかったのに」と言って賞賛していたのだけれど、よく調べたら別人の模様。その他にもヴィクトル・ユゴーシャルル・ボードレールにまつわる作品があったので、面白く思う。詩人S.T.コールリッジの「老水夫の歌」にギュスターヴ・ドレが挿画した本に圧倒。最近幻想美術が面白いと思っていただけに興味がわいた。
次の部屋は写真と銅板の作品が沢山あった。アルビュメン・プリントという1850年から1880年に盛んに作られた鶏卵紙プリント技術を堪能できる。セピア色の部屋に、ときどき油彩があり、アクセントになっていた。コローの暗い灰色の森がきれい。アルコーヴには仏像の木彫りがあってなごむ。(インドのものだけど、個人的に文化が混淆した作品のように思えた(中国風だった)。旅の記憶、いろんな地域でまとめられていてわかりやすい。カッサンドルの印象的なポスターやカラフルな絵はがきがセピア色の世界に色を添える。この辺で閉館間際の音楽が...急いで見ていく。最後は空想の世界にトリップ。面白かったけれど時間が...あとは埼玉近代美術館のおなじみの作品が並ぶ。(全体的に日本の美術館から作品を借り受けているもよう)ラストを飾るのは日本の旅。地震津波の模様が写真でならんでいたのは面白かった。そして閉館時間。
もっと時間があるときに来ればよかった...全体的にセピア色でまとめてあり、貴重な文物もあり、新たな発見もあった。けれどかなり教養のある人じゃないと楽しめないのでは(私は教養ないけれど、同行者のお陰で興味深く見た)。
埼玉県に新しい観光をもとめて来ていただきたい、と埼玉県民の私は思っている。